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Apple Musicを据え置き型オーディオシステムに導入する4つの方法を音質と操作性で比較してみました。

Apple Musicをプレーヤーとして活用してみよう

Apple Musicをはじめとする音楽ストリーミングサービスを、移動中などにイヤホンで聴いているユーザーも多いと思います。楽しくて次々に音楽を再生してしまいますが、実際に外で使ってみるとモバイル通信によるデータ量超過の問題など、若干の不自由さを感じるのも事実です。

一方、Wi-Fi環境のある室内で使えば、データ量を気にすることなく、最大ビットレートを確保することができるなど、据え置き型オーディオシステムでの音楽ストリーミングサービスの活用は意外とメリットが多くありそうです。そこで今回は、実際にApple Musicをプレーヤーとして使用するときの最適な方法を、音質と操作性の両面で探ってみることにしました。

同時に、Apple Musicで採用されている最大ビットレート256kbpsのAACというフォーマットが、音質にこだわるオーディオファンを満足させられるものであるのかも、CDやハイレゾと比較しながら検証したいと思います。

そこで、Apple Musicを据え置き型オーディオシステムに導入する場合の代表的な接続方法として以下の4つを 挙げてみました。

①i-Phoneのイヤホンジャックからミニピン⇒RCAケーブルによるアナログ接続
②i-PhoneのLightning端子からLightning⇒USBによるデジタル接続
③i-PhoneからAirPlayによるWi-Fi接続
④PCからLinnのSongCastを利用したネットワーク接続

今回はこの4つを実際に比較試聴し、それぞれのメリット、デメリットを検証してみるつもりです。

最も基本的でシンプルなアナログ接続から試聴開始

試聴の前にi-Phoneの設定をWi-Fi通信に変更するため、Wi-Fi設定をオンにするとともに、念のためミュージックのモバイルデータ通信をオフにしておきます。これで最大ビットレート256kbpsになり(たぶん(^_^;))音質的に有利になるはずです。

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まずはアナログ接続から試聴を開始します。i-Phoneのイヤホンジャックからミニピン⇒RCAケーブルでプリメインアンプPMA-SX1へ入力し、スピーカーはB&Wの802Diamondを使用します。

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圧縮音声を再生するにはいささかやり過ぎという気もしますが、期待も含めてこのシステムをリファレンスにしたいと思います。

試聴曲にはSHANTIの「Saving All My Love forYou」とBill Evans Trioの「Waltz for Debby」の2曲を使います。

shanti Bill Evans Trio Waltz for Debby

この接続ではi-Phone本体のボリュームも働きますので、オーディオの流儀に従いi-Phoneの音量を最大にして、音量調節はPMA-SX1側で行うことにします。

前置きが長くなりましたが、この状態で実際に音を聴いてみたところ、エネルギッシュで勢いのある、予想以上にバランスの良いサウンドに驚きました。「意外と聴けるな~」というのが第一印象です。

ただ、じっくりと細部に注目すると若干の物足りなさも感じてきます。SHANTIでは電子ピアノの音の輪郭が丸くなり、声の余韻やブレスのニュアンスがやや大味に感じます。Bill Evans Trioは観客のざわつきなどがあまり聴こえず、会場の臨場感や空気感が伝わってきません。

操作性では、i-Phoneとアンプをケーブルで接続しているため、操作するたびに機材付近まで行かなければならないのが不便に感じます。音質も含め、ラジオなどの流し聴きなら使えるといったところでしょうか。

音質的に有利なデジタル接続で音はどう変わるか?

つづいて、i-PhoneのDACやアナログ出力回路を通らないことから、さらに良い音になると予想されるデジタル接続を聴いてみました。i-Phoneのボリューム回路はスルーされるので音量調節はアンプのみで行います。

接続にはi-Phone付属のLightning⇒USBを使用し、USB(Type A)端子を持つCD/SACDプレーヤーDCD-SX1に入力します。アンプとスピーカーには引き続きPMA-SX1と802Diamondを使用しています。

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再生してすぐに音の鮮度が上がったと感じます。SHANTIでの電子ピアノは輪郭がクッキリと浮かび上がり、粒立ちが良くなりました。声の細かなニュアンス表現も向上し、生々しい肉声感が出てきます。Bill Evans Trioも観客の話し声や咳払い、食器同士の触れ合う音などがしっかり聴こえ、会場の雰囲気がリアルに感じられます。

操作性は、i-Phone本体のボリューム操作が不要になる以外ほぼアナログ接続と同様でケーブルの長さ以上離れられませんが、この音質なら我慢できると思えるかもしれません。

ワイヤレスで操作性が格段に良くなるAirPlayの音質クオリティーは?

つづいてケーブルの長さという制約が無くなるワイヤレス接続を可能にするAirPlayでの再生を検証してみます。

この機能は対応するオーディオ機器との組み合わせが必要になるので、今回はAirPlayに対応するMAJIK DSMをレシーバーとして使用し、PMA-SX1と802Diamondで再生することにしました。そのためMAJIK DSMのボリューム回路を通過しないLINE OUTから音声出力させています。

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AirPlayの設定は、i-PhoneのAirPlayマークをタップすると表示されるMAJIK DSMを選択するだけという簡単さです。以前のような接続の不安定さも無く、ファームウェアも改善されているように感じます。

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AirPlayでもi-Phoneのボリュームは生きているので、先ほどと同様i-Phoneのボリュームを最大にし、PMA-SX1で音量を合わせます。

試聴を開始してまず感じるのは、やはり手元で操作とプレイリストの確認ができる圧倒的な快適さです。もはや有線接続には戻れないと思ってしまうほどです。

そこで気になるのはやはり音質でしょう。

これが「意外とやるな」というクオリティーなのです。アナログ接続よりは圧倒的に鮮度が高く、かなりデジタル接続に近い印象です。音の粒立ちも良く、空間の広がり感もあり、十分視聴に耐えうる音質だと感じました。256kbpsというビットレートに対し非圧縮伝送というメリットがどの程度生きるのかは分かりませんが、ワイヤレスによる劣化はほとんど気になりません。

厳しく比較すると、音の明瞭度と瞬発力の点でわずかにデジタル接続に及ばないところはありますが、これは経由しているMAJIK DSMとDCD-SX1それぞれの特性が若干影響しているのかもしれません。

PCでのスマートな音楽再生を可能にするLinnのSongCastで聴いてみました

ここから再生機をPCに変更し、MAJIK DSMを使ったSongCastによる試聴を行います。

SongCastは、PCで再生する様々な音を、USBケーブルなどで直接オーディオ機器と接続することなく、同一ネットワーク上のDS経由で再生できる機能です。

PCには事前にSongCast appをインストールしておき、SongCastアイコンをクリックしてDSを選択するとMAJIK DSMを通して音楽が再生されます。設定の手間はAirPlayとほぼ同様といった感じです。

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肝心の音質はAirPlayに近い印象ですが、鮮度の面で若干及ばないと感じました。これは使用したウィンドウズPCのオーディオエンジン(カーネルミキサー)を通過しているせいかもしれません。とはいえ、アナログ接続よりは確実に情報量が増えています。

操作性はiTunesに準じることになるため悪くないですが、動作が重いためスペックが高いPCでないと若干のストレスを感じるかもしれません。

キャプチャ

■試聴後の印象をもとにした接続方法別の順位表は以下になります。

1位 AirPlay……………音質:4点/操作性:5点   合計:9点

2位 デジタル接続……音質:5点/操作性:3点   合計:8点

3位 SongCast……….音質:3.5点/操作性:4点  合計:7.5点

4位 アナログ接続……音質:3点/操作性:3点      合計:6点

音質クオリティーはCDと比較してどの程度なのか!?

ここからはApple Musicの音質クオリティーの検証に移ります。まずはCDとの音質比較を行ってみたいと思います。

機材はプレーヤーにDCD-SX1、アンプとスピーカーにもこれまでと同様PMA-SX1と802Diamondを使います。i-PhoneとDCD-SX1との接続は一番音質の良かったLightning⇒USBによるデジタル接続にしています。

この状態でSHANTIの「Saving All My Love forYou」をApple MusicとCDで交互に再生しながら比較してみます。

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Apple Musicは音にパワーとキレがありますが、CDを聴いた後ではわずかに強調感を覚えます。強弱を使った表現力の幅や音のリアリティーもCDが勝り、音に上質さが感じられます。ただ、Apple Musicの活きの良い音も魅力があり、こちらの方が好きという人が居てもおかしくありません。

最終決戦!! ハイレゾとガチンコ勝負!

最後はBill Evans Trioの「Waltz for Debby」の96kHz/24bitハイレゾ音声と比較してみます。

i-Phoneは先ほどと同様にDCD-SX1とデジタル接続、ハイレゾはMAJIK DSMで再生しています。

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Apple Musicは相変わらず勢いのある演奏で、左チャンネルのドラムがやや前に出てくる印象。ハイレゾに替えると音が奥に引っ込み「あれ?」と思いますが、冷静に聴くと音のリアリティーと実在感に差を感じてきます。落ち着いた音の印象はLINNの特色が出ているのかもしれませんが、両フォーマットの音作りの違いが良く表れていると思います。さすがにドラムやピアノの弱音部の表現はハイレゾの独壇場で、Apple Musicはやや淡白な印象です。

CD、ハイレゾと比べたApple Musicの音質傾向は、ビットレートの低さや圧縮に伴うダイナミックレンジや周波数レンジの狭さを感じさせないために、全体的にエネルギー感を上げているような印象です。

Apple Musicはオーディオ用音源として使えるか否か!?

率直に言わせてもらえば、十分使えると思います。

デジタル放送でもあまり評判の良くないAACという不可逆圧縮の音声フォーマットに、あまり良い印象を持ってないオーディオファンは多いと思います。しかし食わず嫌いをせずに聴いてみると、意外なクオリティーの高さに驚きます。エンコード技術も日々進化していると実感せずにはいられません。

そうは言っても、音質を追求するのが本道と考えるオーディオファンにとってApple Musicをメインの音源にすることは考えにくいかもしれません。そんな方にはApple MusicをハイレゾやCDと共存させながら、新たな音楽を見つけるツールとして使用することをお奨めします。良い音で聴くことと同様、未知の音楽と出会うことはオーディオ鑑賞最大の楽しみだと考えるからです。それを容易にする音楽ストリーミングサービスを音質を理由に否定して使わないのは、あまりにもったいないと思います。

また、これからオーディオを始めるなら、Apple Musicを核にしたシステムの構築も面白いかもしれません。CDや配信での音源購入やCDリッピングの作業も必要なく、NASなどの音楽データの保存場所も要りません。かなりシンプルでスマートな最先端のオーディオシステムになるはずです。

いすれにせよ、音楽ストリーミングサービスが新たなオーディオ鑑賞スタイルをもたらしてくれるのは間違いないでしょう。音楽愛好家なら、大いに活用できるのではないでしょうか。

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